④ウエノショウコの話(ヨシタカ、ナオ)

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私は、兄が2人いる。 2人とも優秀で、国家公務員のエリート官僚の道を、進んでいる。 父もエリート官僚で、上の方にいる。 でも、私には、興味のない事なので、父の肩書は知らない。 両親は、私も、国会議員の道を歩ませたかった。 でも、私は、私の家では、落ちこぼれで、 兄達は、有名な国立大学を卒業したが、 私立大学の社会学部を卒業する程度だった。 私が、卒業した私立大学も、全国の大学からしたら、かなり有名だが、 私の両親は、それが、落ちこぼれだと言う事になる。 それでも、少しでも、両親や兄たちに見返してやろうと、 大学の在学中に、パソコンのスキルを身に着けたり、英語の検定や、 秘書検定の試験も取得したりした。 就活の時、兄たちと同じように、国家公務員の試験は受ける気は無くなっていた。 もし、兄達と同じ、公務員になっても、比べられ、また落ちこぼれと、言われ続けられると、思ったからだ。 それよりも、一流企業に入って、秘書をやりたいと思っていた。 兄たちと、同じ道を歩んだとしても、そこで、また比べられ、 結果的に、色々と蔑む言葉を投げ続けられるだろうと思った。 秘書をしながら、エリートな結婚相手を見つけて、 幸せになって、兄たちを見返してやろうと思った。 私は、実際、大学を卒業して、大企業の秘書課に入社した。 それと、同時に、親元から離れ、1人暮らしを始めた。 大企業の秘書課は、ここだけかもしれないが、新人イジメが酷かった。 それに、掃除や片付けまでやらされ、また時間外を含めた接待が多く、コピーやお土産を大量に持たされるだけと、雑用ばかりさせられた。 嫌われないように、勤務時間中は、お局様のご機嫌を取りながら、先輩の雑用を隙間時間にして、 勤務時間外に、残っている押し付けられた仕事を必死にするという日々が続く。 目をつけられた新人は、理不尽で、どうでもいい大量な仕事を自己退職するまで、やらされた。 大企業だから、秘書課の人数が多かったのが原因なのかもしれない。 私は、そう思った。 40代の後半のおばさんや、仕事が出来ないが、威厳だけあるお局さんもいた。 実際、重要な仕事を任されていたのは、少し下の世代で、 年配者は、PCが不得意すぎて、役に立っている事が少ないと、入社したばかりの私でさえ、数か月で分かった。 でも、実際、新入社員の私は、電話さえ取らせてもらえず、 資料作りやそれに伴う意見なども、求められなかった。 ここにいてても、自分のスキルは、上がらない。 そして、優秀な独身社員には、目にも止まらない扱い。 嫌気がさした。 1年が経つ前に辞めてしまった。
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