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「……ところで立花さん。合コンって何?」
落ち着いても全然腕を放す気がない葉は、私を足に乗せたまま肩越しに訊ねてきた。
すっかり抵抗を諦めていた私は、今の台詞で再び抵抗を始めた。
葉から逃げようとしたが、力では敵わなさそうだ。
私は身をよじるのをやめ、深く項垂れた。
「立花?」
「……だって、葉が好きだったから」
「すごく嬉しいんだけど意味が分からない」
「葉とはもう終わりだって思ったの! でも葉のことが好きで、簡単に忘れられそうになくて。次の恋でも見つければ忘れられるかなって思ったの!」
私は両手で顔を覆い、思いの丈をぶちまけた。
「……申し訳ございませんでした。俺が全面的に悪かった。だからその合コンには行くな」
「でも友達には行くって言っちゃったし……」
ありすは張り切って合コンの準備してくれてるみたいだったし……。
私の身勝手で今更やっぱり行くのやめるって言うのもなぁ。
「今からその友達に連絡して。俺から断るから」
葉は言いながら充電コードに繋がっている私のスマホを指さした。
「いや、今日はもう遅いから……」
「じゃあ明日でもいい。ちゃんと俺から説明する」
葉は頑固なところがあるから、きっと私からありすに断ってもありすと連絡を取りたがるのだろう。
「……分かった」
頷くと、葉も満足そうに頷き返した。
「合コンとか、死ぬまで行かせない」
葉は私の首筋に顔を埋めて、低い声でそう言った。
嫉妬……?
そう思うと、不謹慎ながら嬉しかった。
微苦笑した私は、葉の髪をそっと撫でた。
了
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