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「忙しかったんでしょ! もう私に気持ちないんでしょ! 浮気してたんでしょ!」
「してねぇよ! まだ好きだし! 浮気なんてしてない! そんな暇もなかったし……。ちゃんと説明するから。だから聞いて欲しい」
葉は、ずっと殴り続けていた私の手を捕まえ、まっすぐに私を見つめて来た。
「今更なによ……。連絡無視し続けたくせに」
「ごめん。……ごめん」
葉は辛そうに謝るばかりだった。
忘れようとしていたのに、次に行こうと思っていたのに。葉を前にしたらまた好きの気持ちが溢れて来る。
「……っ」
鼻がツンとして涙が溢れて来た。
唇を噛んで八つ当たりの言葉を飲み込んでいると、葉が私の唇に親指を当てた。
「噛まないで。何言ってもいいから」
「……遅い。遅いよ……」
「……ごめん。もう、俺のこと嫌いになった?」
「なってないから困ってるんじゃん!」
葉を突き放そうとしたが、腕を掴まれていて叶わなかった。だけど暴れた瞬間に、葉に思い切り頭突きしてしまった。
その痛みに葉が私の手を離して自分の額に手を当てる。
私も空いた手で自分の額を抑える。
「っ」
「……ごめん」
「いや、俺こそごめん」
この頭突きのおかげで、お互いに頭が冷えた。
「……話、聞く」
私は葉をリビングに通し、冷凍庫から保冷剤を2人分出し、それを包むタオルを持って私もリビングに行った。
ミニテーブルの前に座っていた葉の前に座った。
「これ」
「ありがとう」
葉は保冷剤をタオルで巻き、額に当てた。
私も同じことをして、葉に向き直った。
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