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葉の台詞に、自分でも眉間にしわが寄るのが分かった。
「私、もう自信ないよ。あんなに放置されて、葉に好かれてるなんて思いあがったこと、もう考えられない」
「思い上がりじゃないから! それは本当に俺が悪かった。お願い、もう一度チャンスが欲しい。今度は立花を泣かせないから」
私ばっかり好きなんじゃないか。
私ばっかり会いたいんじゃないか。
私ばっかり葉のことを考えているんじゃないか。
ずっとそう思ってきたけど、それは私だけじゃないの? 葉も同じだって、また信じてもいいの?
「バイト減らす。立花との時間を作る。メッセージの返事もちゃんとする。電話もする。時々会いに来る」
葉が真剣な顔で言っている。その顔が次第に滲んでよく見えなくなった。
「何も話さなくてごめん。次からはもっといろいろ話すから」
「……うん」
葉の真っ直ぐな声に頷いてしまった。
「最後のチャンスだから」
「うん。ありがとう」
テーブルを回って私の隣に座った葉は、痛いほどに私を抱きしめた。
耳元で聞こえた「好きだよ、立花」と言う声は、電話の時の無機質な声とは違った。
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