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思わずそう呟いていた。日本人ではないことは明らかだった。少年は私を見ると、とても驚いたような顔をした。私たちはしばらくお互いの顔を凝視して、それから口を開けた。
「名前は?」
少年は小さな声で「レイ」と言った。「レイ」という響きが少年に合っている気がして、納得した。
「私はユカリ。9歳!」
「ぼ、くは分かんない」
「いくつか分からないの?」
「うん」
私はゆっくりと足を前に出して、レイに近づいた。レイは驚いたように私を見たが、すぐに表情を戻して私の行動を受け入れたかのように警戒心を解いた。
「学校は?」
「行ってない」
「ずっとここにいるの?」
「うん」
手を伸ばせば届きそうな距離まで近づくと、レイがごくりと生唾を呑み込んだような気がした。
「どうして目が真っ赤なの?」
「生まれつきだよ」
「綺麗……」
近くで見るとレイの美しさは一層際立った。真っ赤な瞳は宝石のように澄んでいてキラキラしている。
「こんな時間に家を出て怒られないの?」
子供が決して外に出ていいような時間では無かった。今年はサンタさんは来ないだろうな、と私は考える。
「ママとパパは寝てるから大丈夫」
「そっか」
「レイこそ、怒られないの?」
「ママとパパは、いない」
そこで言葉に詰まる。「いないの?」と消え入りそうな声で聞いた。レイは静かに頷く。私はレイの頭に手を乗せ撫でた。
「これ何?」
「悲しい時とかに頭を撫でられるとね、元気が出るんだよ。ママとパパがいつもそうしてくれるの」
レイはしばらく無言だった。無言で私に頭を撫でられている。私が頭から手を離すと、レイが私の瞳を見た。
「ねぇレイ、私毎日遊びに来る。だからもう一人じゃないよ。私たち友達になろう!」
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