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またユカリに頭を撫でてほしい。またユカリと話をしたい。またユカリと手を繋ぎたい。またユカリとキスがしたい。
ガチャッとドアが開く音がした。僕はすぐにその物音に気が付いて、後ろを見る。
「ユカリ?」
僕は「ユカリ!」と叫びながら玄関に向かって急いで走った。
「うっわ、すっげー。おい、ちゃんと撮れてるか?」
「雰囲気出てるなー、怖えー」
知らない男たちがいた。カメラを持ち、勝手に人の家に足を踏み入れている。男たちは僕に気が付くと、ギョッとした。急いでカメラのレンズを僕に向ける。
「お前たち、誰だ」
耳がピりつくような低い声で言った。僕はゆらゆらと男たちに近づく。男たちは「えっと」と上ずった声で段々と後ろに下がっていく。
「ここに来ていいのはユカリだけだ。野郎が僕とユカリの場所を汚すな」
僕は鋭い牙を男たちに見せた。
「おいおい、待てよ。本当に吸血鬼がいるなんて聞いてねぇよ!!」
カメラを持った男が顔を真っ青にさせながら言う。もう一人の男は口をパクパクとさせているが声が出ないのか、ただぶるぶると体を震わせているだけだった。
「おい、逃げるぞ!!」
男たちは玄関のドアを見た瞬間、ヒッと叫んだ。先程まで反対側に立っていた吸血鬼が玄関のドアの前に立っていたのだ。
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