女傭兵セルリア

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女傭兵セルリア

 セルリアは、リアトリス傭兵団に所属している一傭兵だ。  両親はセルリアが14の頃に亡くなり、病弱な弟を育てる為に、傭兵となった。昔から喧嘩が強く、力に自慢のあるセルリアにとって、傭兵の仕事は天職であった。  長い髪は傭兵業に支障が出る為、癖のある髪は顎下までの長さだ。薄浅葱色の髪の毛先は紺碧色で、まるで青空と夜空が一緒になったようだと言われた事がある。浅緑色の瞳からは気強さが感じられる。  傭兵団の中ではよく力比べをするが、男にも負けた事がない。 「姉さんを嫁にする人は、岩を素手で砕けるような大男じゃないと駄目だね」  弟には、よくそう言われた。  セルリアは結婚に興味が無かったので、その話はいつも流していた。  セルリアが23になった頃。セルリアはリアトリス傭兵団の第3部隊に所属していた。団長に隊を1つ任せたいと言われた事もあったが、人に指示を出すのが苦手なセルリアは、一傭兵として所属している方が気楽だった。  セルリアの周りでは、結婚をする者達が増えていた。セルリアは傭兵団でも有名な女丈夫で、言い寄る男は何人もいたが、恋慕に興味の無かったセルリアは、尽く振っていた。そんなセルリアも、一度だけ気の迷いがあり、一人の男と付き合った事があるが、価値観が違い過ぎてすぐに別れた。  弟は、セルリアの将来を一番心配している事を、姉はよく知っている。だが、結婚が全てではないと考えていた。  このまま傭兵業に邁進していくと思っていたセルリアだが――一人の男の為に辞める事にし、その男と結婚する事を決める。  これは、傭兵として活躍していたセルリアが、龍の末裔という希少な存在である男ジェードと共に逃避行をし、結婚に至るまでの話である。
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