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「そうだ。これね」とタケハナは腕に着けた通信端末のボタンを押した。プロジェクション型端末だ。腕に操作画面を投影するタイプ。タケハナぐらい腕が太ければ使いやすいだろう。タケハナが端末を腕ごと差し出したのでナツはポケットからオピドスのカードを出した。タケハナの端末にかざして電子マネーを受け取った。
「お金大丈夫?足りてる?」
やはりナツは答えなかった。タケハナは「足りないなら言いなよ」と言った。ナツはカードをポケットにしまった。
一緒に食事をしないか、と最初はタケハナにそう声を掛けられた。何か裏があるのではないかと思わなくもなかったが腹の減っていたナツはその話に乗った。その日にはタケハナがナツの食事シーンに性的な興奮を覚えていることは一応わかった。共感はできないが。
それから外で食事を奢られる関係からなし崩し的に今の状態に至った。そのうちこれ以上のことをさせられるのだろうなという気はしている。タケハナは口では「セックスは好きな人とするのが良いよ」と言ってくるがその言葉を信じるほどナツはこの生き物を信頼していない。タケハナとセックスをするのも時間の問題だろうなと思っていた。
「ナツ君紙島で働いてるんだっけ」思い出したようにタケハナが言った。「明日紙島行こうと思ってんだよね、夏祭りあるって聞いたから。ナツ君も行く?」
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