第3章 濃厚甘酸っぱい想い出ベリーティラミス

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車内は緊張感に包まれていた。 何を言おうか頭の中を整理していると―。 社長は「君は毎回突然だな…」と呆れていた。 「すみません」 反射的にあかりは言った。 「いや…謝るのはこっちの方だ。済まなかった…星宮さんを巻き込みたくないと思って避けていた。ただ、正直戸惑っているんだ。病院のことといい、今日といい…会いにくるとは思っていなくてね。今も車に乗せてしまってよかったものか…でもまぁ、小林も甲本くんもいるから大丈夫だろう」 自分にそう言い聞かせているようだった。 「小林さんというのは?」 「ああ、そこにいる運転手だよ」 運転手の小林はバックミラー越しに会釈した。 「小林の運転技術は並大抵のものではないし、柔道の達人だ。多少の事は切り抜けられる」 褒められても黙々と運転を続ける。 「それに、後ろの車」 「え?」 振り向くと、一台の車がついてくるのが見えた。 運転席にいるのは甲本だ。 「甲本くんはいつもいい距離感で警護してくれている」 厳重に守られていることを改めて知り、あかりは安心した。 「それで…解決する方法を知っているとかなんとか言ったね…?」 社長から促され、視線をさまよわせる。 「…ここではちょっと」 運転手に話が筒抜けなのが気がかりだったのだ。 「そうだな、ここでは話しづらいか。どこかで何か食べよう…ティラミスは好きかな?」 「はい」 「じゃあ、小林、久しぶりにあそこに連れていってくれ」 「かしこまりました」 小林は見事なハンドルさばきで方向転換すると、後ろの車もそれに続いた。
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