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あっという間にロング缶3本がカラになっていた。
「ちぃちゃん、もうお酒ストップね」
これ以上は健康によろしくないと思って、あかりは止めた。
冷蔵庫にはまだ千夏用ビールがたんまりストックしてあるけど。
「あかりが飲まないから代わりに飲んであげてんのよっ。明日は日曜だし、今日はあかりんちに泊まっていいよね? 」
その図々しさに苦笑いするあかり。
「最初からそのつもりだったでしょ?」と言いながらすごく感謝していた。
こんな日にひとりで過ごすのは耐えられないから。
千夏は大学時代に仲良くなった友だち。
背が高くショートヘアで吊り目という一見強くて怖そうだが。
実は友達思いで優しくて頼りになる存在。
上京したのが一緒のタイミングだったのは嬉しかった。
今回も半べそで夜に連絡したら駆けつけてくれたのだ。
あれからどこをどうやって帰ってきたのだろう。
涙があふれて目の前が曇って…。
ちゃんと電車に乗って家まで帰れた自分をほめたい。
「その麗華ってやつはいったいどんなやつ? 悪い噂とかないの?」
千夏は悪口が言いたくて仕方がないようだった。
「非の打ち所がない感じ。ちょっと待って。会社案内には載ってた」
棚にしまっていたパンフレットを探し出して渡す。
そこにはホワイトボードを背にプレゼンしているかのような麗華がいた。
「ふーん、美人ね、典型的なお嬢さまって感じ」と千夏も納得。
「そうなの。化粧はいつもバッチリでスタイルが良くて…」
グラビア並みの裸体をまた思い出して落ち込んだ。
あんな美女を嫌いな男はいないよね。
「はぁ? あのねー、何言ってんのよ」と、千夏は自分のことのように怒る。
「あかりだって負けてない。あたしが見た中でねー、あかりよりかわいいコなんてこの世にいない。大学のときのことおぼえてる? 誘ってくるやつ、あかりが断りにくそうにしてたのを片っ端から断ってあげたのはあたしなんだから。みんな断ることになって、男嫌いなのかと思ったぐらい」
「ちぃちゃんってば大げさ…」
「大げさじゃない、ホントのこと。でも、嫌いじゃなくて理想が高いだけなのよね。すっごくカッコいい人と付き合ったりして…それもすぐ別れちゃったけど」
「あの頃は男の人といるよりお菓子作ってる方が楽しいって思ってて…」
「そうなのよ〜、あかりは自分の魅力に気づいてないだけでかわいいの! 自信持ちなさい!」
ありがとう…麗華の容姿とスタイルに撃沈したけど。
ちぃちゃんのおかげでちょっと自信を取り戻せた。
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