お友達

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 太陽と月が交代する逢魔が時、その青年はオレンジ色の光の中を歩いていました。  青年が歩いていると、公園の片隅で泣いている男の子がいます。 「どうしたの?」  青年は男の子に声をかけました。 「こうくんと、けんかしちゃったの。もう、あそばないっていわれた」  涙を流しながら、男の子は言います。 「そっか。それじゃあ、僕と遊ばないかい?」  青年はポケットから3つの指人形を出しました。  指人形は小さいながらとてもよくできていて、みんな笑顔でしたが、なぜだか少し濡れています。 「この子はけんくん、この子はみおちゃん、この子はらいくんだよ。  君の名前は?」 「ゆうき……」 「じゃあゆうくんだね。仲良くしてね」  男の子――ゆうくんと青年は一緒に指人形や遊具で遊んだり、青年がポケットから出したビスケットを食べたりして過ごしました。  そして暗くなる頃、青年はゆうくんに尋ねます。 「ゆうくん、僕やみんなとお友達になってくれるかな?」  ゆうくんは元気よく頷きました。 「うん、いいよ!」  すっかり暗くなった夜の中を、青年は上機嫌で歩いていました。  ポケットの中に、新しく「ゆうくん」というお友達が増えたのです。  青年は不幸せな子供を探して、お友達にして幸せにしているのです。  お友達が増えればみんな幸せになると、青年は疑っていません。  だから、青年の耳には、ポケットの中のすすり泣く声は届かないのでした。
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