オークション

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オークション

 座敷牢から一人、また一人と女性や子供が屈強な男によって引きずり出されていく。  皆抵抗する元気もなく、おとなしくしたがっていたが、覇気のない絶望した表情は皆変わらなかった。 (私もいずれ出品されるのね…) だがなかなか私の番はやってこない。  人がどんどん減っていく座敷牢の隅でうずくまって連れ出されていく人々をひたすら眺めていだが、私はどうやら後半に出品されるようだった。    そして私の他に残っていたもう一人の美女が連れていかれ、いよいよ座敷牢には私一人が残された。  もしかしたらこのまま出品されずにここにいられるのではと淡く期待していた時だった。 「最後はお前だ。出てこい」  男に呼ばれてしまった。  そうなればもう逃げることは出来ない。  私は観念して座敷牢を出ると男の後ろについて歩いた。  しばらく歩くとザワザワと人々がざわめく声が聞こえてきた。 「では本日最後の出品です。とある公爵家の令嬢、生娘で購入者様の色に染め上げることをおすすめします。従順で美しいこの娘をご覧ください」  オークションの進行役が声高々にそう言うと私は男に腕を掴まれてステージの上に連れ出された。  ステージの上はライトに照らされているが、観客席は薄暗い照明のため、観客の顔は見えなかった。 「早速の入札です。10万、30万、どんどん値上がりしますね。さあよくご覧下さい。淑やかなこの姿を。肌も滑らかで触り心地も最高です」  私の値はドンドン上がっていくようだった。  その時だ突然ブザーのような音が鳴った。 「なんと!1000万の入札が入りました。皆様、いかがでしょうか。入札はないようですね!では1000万で落札です」  私はなんと1000万という目のくらむほどの大金で誰かわからない人に買われたのだった。
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