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そんな急な山道を雨が降る中登っていくと、運転している秀美が急ブレーキを踏んだ。
助手席で車窓の様子を見ながら乗っていた汎人は、シートベルトをしていたものの、前のめりになってフロントガラスに頭をぶつけそうになった。
汎人は「どうしたの?」と秀美に尋ねた。
秀美はため息をつきながら、前方を指さした。
雨を拭うワイパーブレードが音を立てながら一定のリズムで左右に行き交うフロントガラスの先を見ると、右手の崖の上から左手の谷の方に向かって土砂が道路の上に覆い被さっているのが見えた。
(続く)
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