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星願い
君は僕にむかってこう言った。
「願いごとはなに?」
君が僕に気がついてくれたことがうれしくて、それだけでもう何も言えなくなってしまった。
「願いごとは、なに?」
君はもう一度言う。
「君の名前は?」
「名前なんかないわ」
「存在しているのに?」
「そういう問題じゃないのよ」
「願い事ごとはないの? そろそろわたしの順番だから、早く言ってもらわないと困るのよ」
君はじれったそうに言ったから、僕は不安になった。
「君にふれたい」
言った瞬間、君は空からスーッとおりてきて僕の目の前に立った。
そうして僕は、きみの頬を触った。
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2021,11,26,金 初掲載「ラフスケッチ2021」より
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