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一時間後、鞍馬山中の小さなお堂の中に踞っていた祖父が発見された。心筋梗塞を起こし動けなくなっており、そのまま病院に搬送された。発見が遅れたため、容態は重篤で野々村一家が東京から京都の病院に着いた時には祖父にはほとんど意識がなかった。
「じいちゃん……」
勝也は祖父の手を握った。大きくてゴツゴツした手。でも温かくて優しい、大好きな祖父の手。この手の持ち主がもうすぐいなくなってしまう、永遠に。
悲しくて、寂しくてたまらない。
「まだ行っちゃダメだよ……」
……かつやか
祖父がうっすらと目をあけた。
「じいちゃん、勝也だよ。会いに来たよ」
「かつや、すまん、あかんかった」
「何が?」
「……もう、守ってあげられへん……かんにんな」
「何言ってるの、じいちゃん、ぼくは大丈夫だよ、心配しないで」
祖父が目に涙を浮かべ、小さくうなずいた。
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