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「大丈夫だよ、勝也。あっちに行けばすぐ思い出すよ、ね、ほら」
ヒタキが勝也の手首に触れた瞬間、バチッと音がして弾かれたようにヒタキがふわりと後ろに飛んだ。まるで羽が生えているように。
「あれ?まだそこにいるんだ、宗玄」
ヒタキが首をかしげながら祖父の名前を口にした。
「どいてよ、また勝也と遊ぶんだから」
……え?じいちゃん?
「結界が切れてやっと勝也が見えるようになったのに、邪魔しないでよ」
……結界?見えるようになった?どういう意味だ?
「……わかったよ。今日はあきらめる。でもあなたの力は長くは続かない。その時また迎えに来る。だって勝也はぼくらのものだからね……勝也もぼくらといた方が幸せだと思うよ」
ヒタキが勝也を見た。
「君だって分かってるよね」
「何が?」
「突出した能力、あるでしょ。それ、ぼくらといた影響だよ、君はもう普通には戻れない。ぼくと来るしかないんだ」
「…………」
またね、勝也。そう言ってヒタキはニコリと笑った。事態が飲み込めずその場にフリーズしていた勝也はハッと我に返る。改めてあたりを見回すが既にヒタキの姿はなかった。
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