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……さすがに海は超えられないのか、それともあきらめたのか……それならうれしいのだが。
日本に帰り、日本で就職したいという気持ちはあったが、祖父の護りはとうに効力を失くしているだろうし、またあの黒い子供が目の前に現れたら……と考えるとなかなか踏ん切りがつかなかった。
野々村は大学院を主席で卒業、マルチリンガル、国際弁護士資格も持っていたので、一流企業や弁護士事務所からのオファーが山ほど来ていたのだが、いよいよという時期になっても、日本に戻るかこちらで就職するか決めかねていた。
オファーのあった会社の概要や評判を調べるため、ネット検索をしていた時の事だった。ある日本の企業に興味を引かれた。
NODA Corporation
日本を代表する企業、野田商事。
当然ながら本社は東京、なおかつ世界中に支社があった。野々村の語学の才能を生かし世界中を回ることが出来そうだし日本に戻る機会もあるかもしれない。さらにページを読み進めていくと、社員のインタビュー動画があった。80年を超える社の歴史の中、最年少で常務となった人らしい。早速再生ボタンを押す。
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