真新しい輝き

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 ふと、目についたイヤリングを持ち上げた。  つけていこうと思っていた手持ちのものより、イミテーションのパールが大きくて印象的だ。シルバーの土台にも小さい石がたくさん並んでいる。ホテルの照明にはこちらが映えるかもしれない。 (別に男ウケ狙ってるんじゃなくて、友達に会った時、「綺麗ね」って褒められたいだけなんだから。それに、自信を持ちたいし)と自分に言い聞かせて、結局イヤリングを購入した。  近所の書店にも寄った。雑誌を立ち読みしていると新作映画のインタビュー記事が目に飛び込んできた。 (丈一郎さんの好きな俳優さんだ)と思った。反射的にスマホで「今度あの人が映画出るんだって、観に行く?」と送ろうとして、いやいや喧嘩中だし、教えなくてもと思う。雑誌を置いて、店を出た。 「ただいまー」  返事はないとわかっている。だけど「一人で帰ってきた時も、誰か家の中にいるとわかるようにしたほうがいい、防犯にもなる」と彼は言う。大げさな、もう私も三十近いしそんな可愛くないよ、と返しても「そういうことじゃないから」と真剣な顔をしていた。  彼が怒るのは、いつも私自身のこと。  だけど、うざったくもある。子供じゃないんだから。
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