一幕『社畜の神様』

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一幕『社畜の神様』

えーっと、なになに? 開運祈願に 合格祈願と 安産祈願で 健康祈願の 恋愛成就も!? やーだなぁ。片手じゃ足りない仕事量ってなんだよ。 依頼多くね!? なんで神様だけこんなに働かなきゃならねぇんだ? 地上はブラックか、ブラックだろ! 愚痴る俺の前で 30分も放置したカップ麺を啜る人間がボソッと言った。 「話し相手が欲しいんだよ。生活に疲れてんの、人付き合いに疲れてんの、勉強すんのも心労溜まんの。つまり、寂しい!」 ギュッ! 「あん? 神様がなんで人間に抱き付いて来るんだよ」 人間もブラックに生きてるからさー。 3分も待てず、カップ麺30分も放置して寝落ちだもんなー。すっげぇ可哀想。 「わかったなら帰ってくれる? 睡眠時間、あと2時間しかないんだわ。日本のサラリーマン神様より忙しいんだわ」 ギュッ! 「今度は何で抱き付いた?」 お前がカップ麺食べて、歯磨きして、布団で2時間眠れるように祈った。 「神様も祈るのかよ」 そこはお互い様じゃん? 自分勝手で他人任せに満足するんだよ。 「お互いサイテーだなぁ」 うっわ! ぶよぶよのカップ麺めっちゃ不味そう。 それでも人間の腹を満たすから美味い筈なんだ。 ちぇっ、いいなー食べたいなー。 「神様のお陰で意識あるから歯磨きしよ…」 ところで歯磨き粉多すぎじゃね? よしよし眠くなった? 睡魔とは仲良くしとけよ。 うん。サイテーだ、サイテー。 お前の安眠が気持ちいいと俺は思ってるぞ。 気分転換に空から降りて来たから まあ勝手に祈って 適当に「じゃあな」て帰ることにした。(終) 32464f35-1818-42f4-9002-8050a1057ab6 illustration special thanks by 樹条さま
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