21人が本棚に入れています
本棚に追加
一幕『社畜の神様』
えーっと、なになに?
開運祈願に
合格祈願と
安産祈願で
健康祈願の
恋愛成就も!?
やーだなぁ。片手じゃ足りない仕事量ってなんだよ。
依頼多くね!?
なんで神様だけこんなに働かなきゃならねぇんだ?
地上はブラックか、ブラックだろ!
愚痴る俺の前で
30分も放置したカップ麺を啜る人間がボソッと言った。
「話し相手が欲しいんだよ。生活に疲れてんの、人付き合いに疲れてんの、勉強すんのも心労溜まんの。つまり、寂しい!」
ギュッ!
「あん? 神様がなんで人間に抱き付いて来るんだよ」
人間もブラックに生きてるからさー。
3分も待てず、カップ麺30分も放置して寝落ちだもんなー。すっげぇ可哀想。
「わかったなら帰ってくれる? 睡眠時間、あと2時間しかないんだわ。日本のサラリーマン神様より忙しいんだわ」
ギュッ!
「今度は何で抱き付いた?」
お前がカップ麺食べて、歯磨きして、布団で2時間眠れるように祈った。
「神様も祈るのかよ」
そこはお互い様じゃん?
自分勝手で他人任せに満足するんだよ。
「お互いサイテーだなぁ」
うっわ!
ぶよぶよのカップ麺めっちゃ不味そう。
それでも人間の腹を満たすから美味い筈なんだ。
ちぇっ、いいなー食べたいなー。
「神様のお陰で意識あるから歯磨きしよ…」
ところで歯磨き粉多すぎじゃね?
よしよし眠くなった? 睡魔とは仲良くしとけよ。
うん。サイテーだ、サイテー。
お前の安眠が気持ちいいと俺は思ってるぞ。
気分転換に空から降りて来たから
まあ勝手に祈って
適当に「じゃあな」て帰ることにした。(終)
illustration special thanks by 樹条さま
最初のコメントを投稿しよう!