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何処にいようとも決して現実世界から離れられない二人を表すようなそれの後、どちらからともなく笑い出し、コーヒーも良いけれどこれからは暑くなるから冷たいスープも良いかもしれないとリアムが別方向の妥協を教えるように提案すると、冷製スープの種類など知らないから教えてくれと慶一朗が素直に返す。
いつでも何処でも、極論ブルーアワーの最中で無くても交わせる言葉を交わしながらも、ブルーアワーであろうがベッドタイムであろうが二度と離さないと誓った手をしっかりと重ねるが、互いの顔を見ることはなく青を背に受けて浮かび上がるアーチ橋を見下ろしている。
言葉が無くても思いが伝わる、それを実感しつつひとつ息を吐いたリアムの横顔をやっと真っ直ぐ見つめた慶一朗は、どうしたと目を細めながら問いかけ、目の前の愛嬌のある横顔を指の背で撫でる。
「……明日のランチも楽しみだけど今日のディナーの方がもっと楽しみだな」
その言葉が齎すものを今の慶一朗はよく理解していて、ヘイゼルの双眸だけでは無く身体全体で己へと向き直るリアムに小さく笑いかけ、満足したら家に帰って今日のディナーを一緒に食べないかと誘い、それを受け止めたリアムが小さく頷いて慶一朗の手を取り、右手薬指に光るリングに口付ける。
「何を食いたい?」
もしもあれなら食べて帰っても良いし何処かの店でテイクアウェイしても良いと笑うリアムに慶一朗が空を見上げた後、チャイニーズと顔を戻しながら伝える。
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