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「今日は泊まってく。」
「え、?」
御手洗の言葉に僕は動揺を隠せなかった。
「動揺してんの?」
「してません。」
「ふーん。」
「御手洗先輩がベッド使ってください。僕はソファーで寝るので。」
「それじゃあ意味ないだろ。一緒にベッドで寝よう。」
僕は思わず御手洗から離れた。
「なんで離れるの?」
すると御手洗は、僕に近づき、シャツのボタンをひとつ外した。
「ちょっと、先輩/」
「ん?」
上目遣いで僕を見つめる御手洗の表情は破壊力がありすぎる。
今すぐにでも理性が崩壊しそうだ。
だが、僕はそれを必死に堪えた。
「一緒に寝ましょう。その前にシャワーどうぞ。」
「んはっ、つまんねぇ。」
「本気って言ったでしょ。」
「無理やりキスしたくせに?」
「それは……」
何を言っても言い訳になってしまう。
僕は言葉を詰まらせた。
「まぁいいや、シャワー借りるぞ。」
そう言うと、御手洗は僕の髪にそっと触れた。
その手は10年前と変わっていなかった。
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