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「電気消しますね。」
「ああ。」
明かりが消えたことで、より一層、御手洗の体温を感じてしまう。
抱き締めている身体が熱い。
「寝ましたか?」
「起きてる。」
すると、御手洗は僕の太ももをそっと撫でた。
「……/」
「気持ちいい?」
「先輩、やめて//」
「ん?」
僕は御手洗の手を強く押さえた。
「ここまでです/」
「南雲って真面目だな。抱きたいなら抱けばいいのに。」
「嫌です。先輩が僕を好きになってくれたら抱きます。」
僕は御手洗を抱き締める腕の力を強めた。
「なぁ、その先輩っていうの何とかならないのか?職場にいるみたいだ。」
「でも、なんて呼べぱ?」
「省吾。」
「え……」
「だから、省吾。言ってみ?」
御手洗の思いがけない言葉に、僕の頭は一瞬フリーズした。
「しょ、しょうごさん。」
「ん、光輝。」
「え…なんで僕の名前知ってるんですか?」
「今朝、会社で自己紹介してただろ?」
「てっきり聞こえてないかと...」
「ばか、ちゃんと聞いてたわ。」
好きな人に名前を呼んでもらえることが、こんなにも嬉しいことだと初めて知った。
僕は泣いてることを悟られないように、御手洗の背中に顔を埋めた。
「省吾さん、好きです。」
「うん。泣くなよ。」
「泣いてません。」
「強がり。」
そうだとしても、好きな人の前では格好つけたい。
だから僕はあなたに囁く。
「明日もキスしましょうね。」
「それはお前次第だな。」
「僕なら大丈夫です。このまま省吾さんを寝かしつけますから。」
「泣いてる光輝は可愛かったのにな。」
「今の言い方、ずるいです。」
そう言った僕の腕を、御手洗は優しく握った。
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