嫉妬、のち、キス

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「まさか2日も続けて来ることになるとは。」 「僕は毎日でも来て欲しいですけど。」 「口説いてる?」 「いえ、本当のことを言っているだけです。」 そう言いながら、僕は玄関の鍵を開けた。 「暗いな。」 「そうですね。」 「南雲?どうした?」 僕は電気も付けずに、御手洗の腕を掴むとソファーに押し倒した。 「ここは職場じゃありません。」 「そうだった、光輝。」 御手洗は表情一つ変えずに、僕を見つめた。 その余裕を無くしたい。 「だからご褒美ください。省吾さん。」 僕は御手洗のスーツを脱がすと、シャツのボタンをひとつずつ外した。 「スーツ似合ってる。惚れ直すくらい。」 「それはどうも。」 「だけど、僕だけが見たかった。一日中、省吾さんを見る大勢の人の視線に嫉妬してました。」 格好わるい所は見られたくない。 だけど、知って欲しい。 それくらいあなたが好きだということを。 「だから、これ脱がせますね。」 「光輝、妬いてたのか?」 「はい、気がおかしくなるくらい嫉妬してました。」 「可愛いところあるねぇ。」 「僕は可愛くないですよ。」 「可愛いよ、とっても。」 そういうと、御手洗は僕の首に腕を回した。 「ご褒美あげる。」 「んんっ...///」 御手洗の舌が僕の口内を舐め回す。 彼からこんなキスをもらえるなんて、嬉しくて昇天しそうだ。 「省吾さん、もっとください。」 「欲張り。」 「あなたにだけです。」 「ほんとに俺だけ?」 「はい、ほんとに。僕は省吾さんしか見てませんから。」 僕にとって御手洗が全てなのだ。 「省吾さんは僕のものだって言ってもいいですか?」 「だーめ。俺は誰のものにもなるつもりはない。」 「それは口説き甲斐がありますね。」 「楽しみだ。」 そうやって笑えるのも今のうちだ。 あなたは僕を好きになる。 僕は想いを込めて、御手洗の唇に口づけした。
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