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僕は我慢できずに、御手洗の頬に触れようとした時、自分の手が泡らだけなことに気づいた。
僕は洗い物の途中だったんだ。
我に返った僕は、再び黙々と作業を始めた。
すると、御手洗はキッチンへやって来て、俺を後ろから抱き締めた。
「これなら邪魔にならないだろ?」
「そうですが...」
背中が熱くて集中できない。
御手洗はどういうつもりで僕に触れるのだろう。
僕の理性を試しているのだろうか。
「なんだ?」
僕より少し背の高い御手洗が耳元で囁く。
「なんでもないです//」
「そのわりには、耳真っ赤だけど?」
「それは、省吾さんが//」
「俺が?なに?」
「分かってるくせに///」
「言わないとわからない。」
御手洗は主導権を握ったまま僕を攻める。
僕が手を出さないと思っているのだろう。
御手洗の手の平で踊らされている自分が情けない。
だが、ここで御手洗に手をだしたら彼の思うつぼだ。
「省吾さん、お風呂湧いたのでお先どうぞ。」
「ふーん。光輝が構ってくれないからつまんねぇ。」
「ほら、早く入ってきたら、僕のマッサージが受けられますよ。」
僕は営業スマイルを御手洗に振りまいた。
「その顔ムカつく。」
「元からです。」
「わかった。入りますよ。」
御手洗は渋々、風呂へと向かった。
僕はその後ろ姿を眺めながら、深いため息をついた。
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