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僕はベッドで御手洗を抱き締めながら、今日までの事を思い出していた。
御手洗と初めて出会った高一の僕。
御手洗を追いかけて、猛勉強の末、同じ大学に入学した僕。
御手洗と同じ職場に就職する為に、死ぬ物狂いで就活した僕。
僕の人生は、彼を中心に回っていた。
そして、現在、僕の腕の中には、愛してやまない彼がいる。
「省吾さん、僕のことをよく見ててくれたんですね。」
「光輝も俺を見てただろ?」
「はい、それはもちろん。」
「んはっ、光輝は正直者だな。」
僕たちは、ベッドの中で思い出話に花を咲かせていた。
「大学生の時、光輝モテてたよな。」
「え!?僕が!?ありえません。」
「やっぱり自覚無しか...」
御手洗の言っている意味が分からない。
「俺の友達も、光輝と仲良くなりたいって言ってたんだよ。んで、俺が高校一緒だから紹介してって。」
「ほぉ...」
「でも断った。」
「どうしてですか?」
「その当時は、なんかムカついて。俺ですら話しかけられないのに他の奴と話すのかよって。」
御手洗の耳がほのかに赤くなった。
「今思えば、嫉妬したのかもな。」
「省吾さんが?どうして?」
「ああ、もう。言わせるな/優秀な部下ならその頭で考えろ//」
「は、はい。」
僕は御手洗を怒らせてしまったのだろうか?
不安が過ぎった。
すると、僕の心の声が聞こえたのか御手洗は言った。
「怒ってないから。今日は寝るぞ。」
「はい!おやすみなさい、省吾さん。」
僕は御手洗の額にそっと口付けし、部屋の明かりを消した。
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