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しばらくすると、御手洗の規則正しい寝息が聞こえてきた。
僕は御手洗の髪をそっと撫でた。
まさか、僕が彼の髪を撫でる日が来るとは、誰が想像できただろう。
まさに奇跡だ。
だから僕は願う。
この時間が、1分1秒でも長く続くことを。
「……ん...」
御手洗がうっすらと目を開けた。
「まだ起きてたのか?」
「眠れなくて。でも、省吾さんの寝顔を見れたので、起きてて良かったです。」
「おい/またそんな事を平気で言う/」
「写真も撮りました。」
「早く消せ/」
「嫌です。僕の宝物なんですから。」
「いいから//」
僕から強引にスマートフォンを奪い取った御手洗は、画像フォルダを確認した。
「ほんとに撮ってるし。」
「可愛かったから、つい。」
「ついじゃねぇ!って、これ……」
「あ……」
バレた。これはまずい。
隠しておくのを忘れていた。
「いつ撮ったんだよ。」
「高一ですね。」
「それは分かる。じゃなくて、この写真だ!」
「初めて省吾さんと会った日、あの後、省吾さん寝たからこっそりと……」
「こういうのを隠し撮りというんだ。」
「すみません……」
僕は泣きそうな声で謝った。
「はぁ、でも、光輝なら持ってていいよ。」
「ほんとですか!?」
「ただし、他人には絶対見せるなよ。」
御手洗の眉間に皺がよる。
この表情も大好きだと、今、言うのはやめておこう。
「はい、絶対に見せません。だからもう1枚撮ってもいいですか?」
「全く、お前って奴は...」
すると、御手洗は部屋の明かりをつけた。
「眩しい...」
「誰かさんのせいで、目覚めたからな。」
と言いつつ、御手洗は僕の手を握った。
「スマホ貸して。」
「は、はい。」
カシャ
「どうぞ。」
御手洗からスマートフォンを受け取った僕は、早速、写真を確認した。
そこには御手洗と僕の手が映っていた。
「これは...」
「ベッドで恋人繋ぎしてれば、何してたか想像できるだろ?」
「え//」
「要らないなら消すけど?」
「要ります!待ち受けにします。」
「いや、それはしなくてもいいけど...」
僕は御手洗からのプレゼントに目を輝かせた。
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