暴かれる過去の僕

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「目覚めた。煙草吸っていい?」 「はい。お気になさらず。」 御手洗はベッドから起き上がると、鞄を漁り始めた。 「くそっ、買うの忘れた。」 「ちょっと待っててください、」 僕はリビングへ向かい、煙草とライターを持ち、御手洗の待つ寝室へと戻った。 「どうぞ。」 「ありがとう。光輝も俺と同じ煙草吸うんだな。」 「それはですね...」 「ん?」 「大学時代、省吾さんが喫煙所で吸ってるのを見かけて、真似しました。」 「はぁ...光輝ってどこまでもぶれねぇな。」 そう言いながら、御手洗は僕の肩を優しく叩いた。 「だって、省吾さんに少しでも近づきたくて。」 「それで、近づけた感想は?」 「幸せ。だけど、もっと僕だけを見て欲しい。と思ってしまいます。」 「へぇー。」 御手洗はそれだけ言うと、煙草に火をつけた。 僕はその姿をじっと見つめた。 「どうした?」 「見惚れてました。あまりにも絵になるので。」 「またお前は/」 「省吾さん、照れてます?」 「うるさい//」 「可愛いですね。」 「俺は可愛くねぇ//」 「ううん、とっても可愛くて、愛おしいです。」 すると、御手洗は煙草の火を消し、僕をベッドに押し倒した。 「省吾さん?」 「黙れ。」 御手洗はそれだけいうと、僕の唇にそっとキスをした。
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