現実は妄想より甘い

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「光輝、行きたい所は?」 「省吾さんとならどこでも。」 「どこでもは困る。決めろ。」 と言われても、デートをしたことがない僕には難題過ぎる。 考えた挙句、僕は御手洗に言った。 「映画館ですか?」 「観たい映画ある?」 「うんと……」 「思いつかねぇじゃん笑」 「笑わないでくださいよ。真剣に考えたのに。」 「ごめんって。買い物でも行くか?」 「いいですね!」 僕は身を乗り出して答えた。 「省吾さんは買いたいものあるんですか?」 「服。あと、歯ブラシ。お前ん家に置いてくやつ買いたい。」 「え///」 「なんで照れるんだよ。」 「だって、僕の部屋に省吾さんの物が……想像したらにやけてしまって。」 「んはっ、変な奴。」 そう言いながら、御手洗は微笑んだ。
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