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その日の業務は主に御手洗の雑用だった。
本当はもっと彼の役に立ちたいのだが、今日のところは僕の出番は無さそうだ。
それでも時間は過ぎていく。
時計の針が18:00を指した時、御手洗が席から立ち上がった。
「行くぞ。」
それだけ言うと、御手洗は鞄を持って歩き出した。
「は、はい。」
僕は慌てて身支度を整え、御手洗の後を追いかけた。
「お待たせしました。」
「ん。乗って。」
僕は御手洗に促されるままに、タクシーに乗り込んだ。
「あの、今夜の予定とは?」
「取引先のお偉い方との会食。」
「そのような大切な場に僕が同席していいのですか?」
「南雲くんだから、いいんだよ。」
僕はこのあと、御手洗の言葉の意味を知ることになる。
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