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僕はマンションの駐車場に着くと、真っ先に、助っ席のドアを開けた。
「どうぞ。」
「ありがと。」
「閉めますね。」
「ん。」
僕は御手洗が助っ席に座ったことを確認すると、ドアを閉めた。
「光輝、モテるだろ?」
僕が運転席に座ると、御手洗が口を開いた。
「そんな訳ないですよ。」
「どうだか?助っ席にも俺以外の人を乗せてきたんだろ?」
「もしかして、やきもちですか?」
僕は御手洗の顔を覗き込んだ。
「うるさい//わるいかよ///」
「嬉しいなぁ。」
僕はシートベルトを締めながら微笑んだ。
「お前が慣れてるから、その、ドア開けたりしただろ/」
「それは、母親に叩き込まれたんです。ドアを開けろとか、エレベーターの扉は開けておけとか。それが染み付いてるんですよ。」
「そうなのか。」
「はい。だから、僕が車の助っ席に乗せたのは、省吾さんが初めてです。」
「うん///」
「だから機嫌直して?」
「俺は怒ってない//」
「良かった。」
僕は頬をほんのり染める御手洗の横顔を見つめた。
「なんだよ。」
「可愛いなぁと思って。」
「おい//」
「そんなに可愛いとキスしたくなります。」
「前向けよ/行くんだろ?」
「キスは?」
「それは...//」
すると、御手洗は僕の頬にそっとキスをした。
「ほら、これでいいだろ//」
「はい。では、行きましょうか。」
僕は満足気に微笑むと、目的地に向けて車を発進させた。
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