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「……///省吾さん!//」
「静かに。」
「あなたって人は//」
「木村を見てたお前がわるい。」
御手洗は、独占欲を隠そうともしない。
それが嬉しい半面、恋愛初心者の僕は反応に困る。
「服着てください///」
「ははっ、触りたくなったか?」
「違います//」
「へぇ。笑」
御手洗は僕の反応を楽しんでいるのか、悪戯な笑みを浮かべている。
僕はいつも御手洗にペースを乱される。
悔しいけれど、この人に敵う気がしない。
「僕、外で待ってます!//」
耐えきれなくなった僕は、御手洗を残し、試着室から飛び出した。
すると、タイミング悪く木村と鉢合わせてしまった。
どんな顔をすればいいんだ?
僕はその場で狼狽えた。
「もしかして、省吾と一緒に?」
「あの...うんと...///」
「慌てなくても大丈夫だよ。省吾に連れ込まれたんだろ?」
「それは...」
「ふーん。近くで見ると綺麗な顔してるね。」
木村は至近距離で僕を見つめた。
「おい、木村。何してる?」
「何って、南雲くんと話してた。」
「手出すなって言っただろ。」
「手は出してないよ。ね?」
「あ、はい。」
僕は咄嗟に木村から離れた。
「光輝、来い。」
すると、御手洗は僕の腕を掴んだ。
「南雲くん、また来てね。」
「木村、黙れ。」
「怖い顔してたら、南雲くんに嫌われるよ。」
「省吾さん、怒ってます?」
「いや、怒ってない。」
「あれ~?省吾もそんな顔するんだ笑」
「うるさい。」
御手洗が俯いた。
「南雲くん、省吾のことよろしくね。口は悪いけど、いい奴だから。」
「はい。」
僕が答えると、木村は満足気に微笑んだ。
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