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「次は、どこ行きますか?」
「あそこ。」
御手洗は、近くの雑貨屋を指さした。
「何か欲しいものでもあるんですか?」
「いいから行くぞ。」
早歩きで店の中に入っていく御手洗の後を、僕は追いかけた。
「光輝、どれがいい?」
「え……」
御手洗は僕にマグカップを見せた。
「誰かさんが、お揃いにしたそうだったから。」
「いいんですか!?」
「だから、声が大きい。」
「だって、嬉しくて。」
「決めないなら、俺が決めるぞ。」
「うっ、待ってください。これもいいし、でもこれもいいな。」
「ははっ、お前、顔芸すんなよ。」
御手洗が笑った。
釣られて僕も笑う。
「これにします。」
「おお、いい感じだな。」
すると、御手洗は同じマグカップを2個持って、会計に向かった。
「ひとつは僕が払います。」
「いいって。その代わり、省吾がコーヒー淹れてよ。」
「もちろん。毎朝、淹れます。」
「ははっ、それじゃあ、俺は毎日、泊まらないといけないだろ。」
「あの……そういうつもりではなくて//」
「おい、照れるな。買ってくるから待ってて。」
御手洗は、俺の髪を優しく撫でた。
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