現実は妄想より甘い

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「そろそろ帰るか。」 「その前に、薬局寄ってもいいですか?」 「いいけど、何買うんだ?」 「シャンプーです。省吾さんの使ってるものが欲しくて。」 「なんで?」 「あの匂い好きなんです。」 「俺と同じ匂いにしたいんだ。」 御手洗は僕の顔を覗き込んだ。 「だめ……ですか?」 「だめじゃない。」 「良かった。」 僕は御手洗の言葉にホッとした。 「はい、シャンプーはこれ。あと、これも。」 「ありがとうございま……え///」 「残り少なかっただろ?」 「そうですけど……///」 「光輝は俺としなくていいの?」 「したいです//」 「それなら、かして。買ってくる。」 僕は表情ひとつ変えず、レジへ向かう御手洗を見守った。
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