ポッケにはアレを

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ポッケにはアレを

昨日は寒い中帰省してきたの彼女が僕のアパートにも来てくれるというので、二つのカイロを上着の左右のポケットに入れて駅まで迎えに行った。 半年会っていないが毎日のように電話をしていたので変な感じを抱きつつ不安と楽しみで山積だ。でも彼女と会ってしまえば僕の声のトーンは直ぐに上がった。 彼女もまた僕があげた一つのカイロを大事そうにしている。今日は彼女の好きだったスーパーの惣菜を買っているなんて地味な事で盛り上がり。二人にしか分からない時間を一夜過ごした。 朝起きると彼女は料理を作ってくれていた。冷蔵庫には殆ど物を入れてなかったのだが「相変わらずしっかりしてるなって」ちゃかしながら、彼女が作った朝ご飯を頂き、少し話すとそそくさと彼女は照れくさそうに帰って行った。 送りは良いと言っていたので玄関までにして、僕は一息ついた後、昼食の為の買い物をしに行こうとして上着を着る。 いつもに戻った動作でポケットに家の鍵を入れようとすると紙が入っていた。 紙にはこう書かれている『来年はもう少し冷蔵庫の中に色々入ってたら安心します。でも今年よりも色々変わってたらやっぱり寂しいし心配だから程々に健康的な生活をして下さい。カイロありがとう。私のだけまだ温かかったね。地味に気が効くところも心配です』 反対のポケットにも少し格好つけて入れると昨日の固まったカイロが僕の手に触れた。
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