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通話を終え、ソファーから起き上がる。
夕方の割引の時間になっていたので、僕は惣菜や弁当の買い出しに近所のスーパーへ向かった。
店内を歩いていると、消費期限が近いものを集めたコーナーに半額の水まんじゅうが一つだけ残っていた。
放っておけなくて、買って帰る。家に着くなり、プラスチックの容器から取り出して日本酒用の木のマスにひとつ入れてあげた。
指でつまんで移動させた水まんじゅうは、自分自身の重みでぺたんと潰れた形になっている。
動けそうには見えない。
「半額ってことは、だいぶ弱ってるんやろね」
冷凍庫から取り出した氷をひとつ水まんじゅうの上に乗せ、さっきスーパーで一緒に買った、500mlで160円ほどする少し高めのミネラルウォーターを注いだ。
「はい、元気になるんよ」
水風呂に浸かった水まんじゅうは、指で触るとマスの底から剥がれ、水の中で自由になった。
水まんじゅうの細胞が復活して、瑞々しく、元気にぷるんと動けているように感じる。
「いつか、会えるよ」
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