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雪を見て、お父様とお母様の笑顔を思い出し己を奮い立たせる。
お父様を探して一緒に遊ぶんだ。そうしたら天国のお母様も喜んでくれるのだもの。
崩れ、荒れ果て、私以外人っ子一人いない廃墟の白い街を私は大股でただひたすらに進む。
するとその時。
「ネーヴェお嬢様」
名前を呼ばれ、足を止めて振り返る。こちらに向かって四つ足で走り寄ってきたもの、それは白銀の体を持つ機械の犬であった。
ゴールデンレトリバーのような風体の大きな大きな機械の犬はペコリと頭を下げる。
「お初にお目にかかります、ネーヴェお嬢様。わたくし、イヌ型AIロボットのユキと申します。博士……つまりはお嬢様のお父様に造られました。以後よろしくお願い致します」
男とも女とも分からない声でユキは自己紹介をする。そして怒ったように続ける。
「お嬢様がお目覚めになられた時に目が覚めなかったわたくしが悪いのですが、置いていくだなんてひどうございます。ベッドの下に控えておりましたのに、一言お声かけ頂ければ直ぐに供をしましたのに」
「あら、それはごめんなさい」
何故私は叱られているのかは分からないが謝っておく。するとユキのモニターになっている目元が弧を描いた。
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