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「あっ!今日は交流会だったわ」
庶民の交流会ではなく、著名人との交流会である。
「最近、交流会ばかりしてる感じがするな」
「そうね。だんだん規制も緩和されてきたからよ」
「顔を売るとはいえ、マンネリ化してるからな~。なんか変化ほしいよなぁ」
「メリハリをつけたいってこと?ま、そういうの大切だからねぇ」
「メリハリねぇ~?そういうことなら、俺も気分転換しちゃおっかなぁ~」
「あらぁ~・・また悪夢見るようなことはダメよ」
「なんでそうなる?」
「気分転換の仕方。間違えないでってことよ」
「あ、お前が怒る様な事をすると思ったわけだ?」
「思わないとでも?この一年で、数多くの火遊び的……まぁ、そういうことが
あったからねぇ~」
「まぁまぁ。それは、あの、な、…ま、夢は夢で終わってほしいよ」
「ふ~ん。都合の良いわねぇ」
「あ、そういえばさ、ここんとこ、コロナ子作りって流行ってるんだって」
「なにそれ。ひょっとして、そんなの信じてんの?」
「いや!本当なんだって。コロナ禍でステイホームになっただろ?ムラムラ感が、夫婦関係にフィードバックしちゃってんだってさ」
「ふ~ん。そうなんだ。それはあるかもね~。仕事帰りの飲み屋や夜遊びもできないしね~。あなたの大好きな風俗も危険地帯だわね~」
「ど、どうだろな?風俗とかより、コロナで夫婦愛増強中とかってさ?」
「ふふふ。あなたは愛よりも、仕事優先でしょ?残念ながら……」
「残念?仕事ってのは、家族のためでもあるんだぞ」
臨月を迎えている腹をさすりながら、松田を見た。
「じゃぁ…この子の名前考えた?新たな家族よ」
「あのなぁ。子供の名前は、祖父が命名する!我が家の決まりは聞いてただろ?ちょっと、珈琲を淹れてくれ」
家族のための仕事というのは、松田の建前であり、本音ではない。
「分かった……」
仲が悪いわけではない。
他愛もない会話はあるのだが、格別仲が良いということでもなかった。
松田は、結婚しても女遊びから抜け出たわけではなく、祥子の頭痛の種でもある。
祥子としては、親の為に進んだとはいえ、結局は自分で決めたことだと、自分自身に言い聞かせる日々であった。
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