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「あ、そういう風に見てるんだ?こっちは笑い事じゃないんですよぉ」
「じゃ、セクハラで訴える?」
「ま、そこまでじゃないですけど……近藤さんが助けてくれたらいいんです」
「ほぇ?」
軽いコミュニケーションと思っていただけに、助けを求められ、声とは言えない情けない返事が口から洩れた。
「何その反応?どこからの声ですか?」
「いやいやいや。俺が助けんの?」
「助けなくてもいいから、私に癒しを下さい」
「なんそれ?癒しってどうすんだよ?」
「話の流れ上、今晩は、部長とディナーになってしまいました。苦役を前に、癒しを……」
「馬鹿言うな。自業自得だろ。美味いもん食わせてもらえ」
笑いながら言う近藤だったが、言われた涼子は、少し表情を強張らせていた。
断ればいいだろ。と言ってほしかったのに逆に煽られてしまったのだ。
「はぁ~い。気分のらないけど、近藤さんが言うなら、そうしま~す」
唇を尖らせ、少し怒った様子の涼子が気になったが、席に戻る姿をちらりと見るだけで、正面のPCに視線を戻した。
その時、近藤の肩を隣の席の山岸が小突いた。
「おい近藤。気付いてやれって」
「お?」
「涼子ちゃんが、お前に気があるの気づいてないだろ?」
「は?そりゃないだろ。あの超絶美女が俺に?」
「やはりか」
「なんだその、やはりって?」
「いや、その鈍感さで、逆玉逃したもんなぁ。オカムラの令嬢」
「おい。それは違うぞ。俺は、あいつの幸せを願って…」
「未練はない?」
「アホか。ねぇよ」
「そうかそうか。ま、それならそれでいいや。済んだことだもんな。次の恋にススメ若人」
「いやいや。ほんま、なんそれ?次の恋?」
「そりゃそうだろ!涼子ちゃん行けって」
「おい山岸。池田となんか企んでんのか?」
「企みってなんだよ?」
「ドッキリとか?」
「今時、どっきりなんて誰得だよ?」
「あぁ。まぁそうだよな」
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