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このチャンスなら、お姫様抱っこをワンチャン期待した涼子だったが、見事にあしらわれる。
代わりに酔っ払い扱いされる始末に。
「ふぇい」
涼子の心境を考えると、返事もそうなってしまうことに頷ける。
「なんだその返事?」
「待って。歩きますからぁ」
繁華街から少し離れた公園に向かい、ゆっくりと歩いた。
夏も終わり、秋になったのは、夜の寒さからも分かる。
「ちょっと寒いですね」
そう言って、近藤との距離を縮め、分かりやすく体を寄せていく涼子。
実際の寒さもあり、近藤も寒いなと涼子が体を寄せてきても素直に受け入れた。
途中、二人の横を救急車が走り去っていく。
ピーポーピーポーと、特有のサイレンが程なくして消え去ると、涼子が話し出した。
「最近、やけに救急車多くないですか?毎日、何台も何台も走ってますよね?」
「あぁ。大変だよなぁ。休みない人もいるとかって話」
「えっ?」
「うちの隣に看護師が住んでて、その子が言ってた……と、そこ座ろっか」
夜の静かな公園につくとベンチを指さす近藤。
近藤と涼子の他にも、ジョギングなど運動をしている人がいた。
周りの運動する人々の横をすり抜け、ベンチに座る二人。
話を切りたくない涼子は、近藤の話題を拾い、聞き返した。
「あれですか?最近、例のワクチンのせいで急に体調が悪くなるって。投稿動画の情報だと、今の時代は、誰も気が付いてないだけで・・第三次世界大戦が始まってるんだって。そういうのと関係があるんですかね?」
「分からん。けど、その世界大戦的なもんって、何処で?」
「う~ん?誰にも見えない心の中というか、人間の命の中心あたり?それにしても救急車見る回数って半端じゃないですよ。マジで。コロナ禍も関係してるのは間違いないし……」
近藤も、コロナ禍に関しては同意し、自分の考えを隠さず話した。
「いろんな意見あるから、誰にも言ってないんだけどさ。言わせてもらうとな、ワクチンを打つから、変異株が生まれるってことに気づいてないのが可笑しい。自分たちでコロナウイルスを変異させて、感染者数を煽って……何がしたいんだろな?自分の生き方が問い直されてる気がするよなぁ。今の時代は、こういうこと話すだけでも叩かれちまう……」
涼子は、小さく頷いた後、ジッと近藤の目を見つめた。
「近藤さん。暗く考えてばかりだと、どんどんネガティブに捕らわれちゃう。だから、私達夫婦は楽しい方を選んで生きましょうね」
夫婦という言葉が、やけに耳に着き、近藤は首を傾げた。
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