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「容赦なく吹く、世間の冷たい風?だとしたら、風の様に吹き抜けて行けばいいよね。時代は風の時代に移ったんだから」
「よく分らんけど、いきなり話飛びすぎだ。で、風って?風にも色々あるからさ」
「うふふ。今日の私は暴風雨だったかしら?」
「台風だろ……あっ!そういえば台風接近してんだろ?」
「大丈夫よ!私は出ないから」
「俺は、買い出し行かなくちゃ」
「晴れてるから、今日のうちに行ってくれば?ま、私に近藤君の私生活興味ないけど」
「興味持たれても困る。あ、そういえばティッシュを買わないとな」
「やっぱりね。一人でティッシュ使いすぎよ。何をしてるのかしらねぇ」
「いや、あ。その、男の嗜み?」
「じゃ、早くいかなきゃ売り切れちゃうよ~。気をつけてね~」
「お?今から行かせる気か?」
「思い立ったが吉日よ」
「ま、ちょっと行ってくる。ティッシュじゃないぞ。タバコが切れたからだ」
「そう?隠さなくてもいいのに」
「うるせぇ。ちょっとコンビニ行ってくる」
近藤が店を出ると、祥子にこの店の看板娘であるアキがコーヒーポットを持ってきた。
看板娘とはいうが、それなりに歳は重ねている。
だが、年齢よりも相当若く見える、妙齢の女性だ。
「結局、話を脱線させたけど、話が伝わってないみたいね」
「あぁ。アキさん。聞いてたの?」
「聞こえちゃったのよ。コーヒーのお替りいるでしょ?」
「いただきます」
「で?松田祥子になる決心はついたの?」
「するしかなさそう……って、アキさん、嬉しそうね」
「そう?」
「あ!ちょっとニヤッとした」
「ふふふ。そう見えた?」
「アキさんならどうする?」
「もちろん好きな相手を選ぶわ」
「親を裏切るような恋でも?」
「自分の人生だからね。親にはメッチャ謝るけど」
「う~ん……」
「即答できないなら、そういう事じゃないの?」
「……実は、ショックなんだよね」
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