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初めて目にしたティーンズラブ漫画は、それ自体が私とって衝撃だった。
だが、それを上回る衝撃はその中身だ。
紙面の中の女性キャラクターは甘くとろけた顔をしていて、あまりにも気持ち良さそうで。
見ているだけで私もなんだか妙な気分になってくる。
そして女性キャラクターは何度も何度も「イっちゃうっ……!」と過ぎた快感に涙を流して叫ぶのだ。
……なにこれ。
それが私の率直な感想だった。
だってこんなの私が知っている行為じゃない。
気持ち良さに乱れ狂うなんて、一度だって経験したことはない。
知識として女性にも絶頂は起こりうるとは認識していたけど、おとぎ話かなにかだと思っていた。
恐る恐る友人に「これって完全なるフィクションだよね……?」と問いかけてみれば、私の質問の意図を察した友人はこう答えた。
「ストーリー自体はフィクションだし、描写は多少盛ってるだろうけど、行為自体は普通なヤツだよ」と。
聞けばティーンズラブ漫画によっては、こんなのリアルではありえないとツッコミたくなるものや、ごく一部の人しかしない行為を描いたものもあるらしい。
でも私が読んだ作品は現実的なものだという。
つまり、世の男女の営みでは、この漫画のようなことが実際に繰り広げられているのだ。
驚愕だった。
私も恭吾さんと交際するようになって、彼と身体の関係を持つようになったけど、一度もこの漫画の女性キャラクターのようになったことはない。
それなりに気持ち良くはあるが、私にとってその行為はどちらかと言えば義務みたいなものだ。
相手が求めて来たらそれに応え、彼が満足して果てるまで付き合う感覚でいた。
……なのに、女性側もこんなふうになるなんて。
そう、これがキッカケだった。
これ以来、つい考えてしまうようになったのだ。
あんなふうに男性に導かれて絶頂するってどんな感じなんだろう……?
泣き叫ぶくらい気持ち良いのかな……?
考え出すと止まらない。
一度でいいから自分も経験してみたいという欲求がむくむくと顔を出す。
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