12人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
この校舎の絵には、いつも俺と時を過ごしてきたあいつの存在が足りなかったんだな…
人物画は、得意じゃないが……。
完璧にしなきゃ納得出来ない体質の俺はあいつをこの絵に描き足す事に決めた。
絵を描いている途中。
ちょうど学校が終わる時間になったぐらいの時に静かな部屋の中にぴーんぽーんと無機質なインターホンの音が響いた。
それだけの事なのに何故か俺はすぐにあいつが来たんだなと分かってしまった…
これが惚れた弱みかぁ……。
少し苦笑してしまった。
あいつが玄関から居なくなるまで待った後、玄関に出ると学校のプリントとコンビニで買ったであろうスポドリとかゼリーとかがビニール袋に入ってドアに掛かっていた。
たった、それだけの事なのに足が地に着かないような気分になってしまった。
俺なのに俺じゃない感じがしてとても気恥ずかしかった。
多分だけど吉川が俺とのlimeの内容あいつにバラしたんだろうな。妙に鋭いとこあるから。
その日は、あいつからの嘘コクの返事を返す為に昨日と同様。
あいつが買ってきてくれたであろうゼリーを食べて夜の9時には寝た。
……キッパリと告白を断ろうと決心しながら。
最初のコメントを投稿しよう!