7 モテ女子と甲斐島流男子

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そして三波がこの状態なら、 「ねえ、東郷くんはどうなったの? 結局、あの襲ってきた人たちはどうなったの?」 と詰め寄るメイを、北斗が「まあまあ」と宥めた。 「メイにはちゃんと説明しますよ。こんなことに巻き込まれたのも、全部、三波のせいですからね」 北斗は、三波を放り投げるようにおろして、 「まずは夕ご飯にしましょうか。食べながら、ゆっくりお話しすればいいから」 と微笑む。 すると床に転がった三波が、大きく震え上がった。 あきらかに怯えた様子をみせた。 なぜだろう。 北斗はただ笑っただけなのに。 三波は、北斗の笑顔の向こうに、いったい何を見たというのか。 ふと、『イヤな臭い』の正体がわかった気がした。 三波の言う、第六感が働いた時に漂う危険でスパイシーな臭い。 危ない人間が放つ刺激的な臭い。 今その臭いを放ちながら北斗は、 「今夜はキムチ鍋にしましょうね」 と材料の入ったレジ袋を掲げてみせた。 「はい、どうぞ」 と、取り分けてくれた小皿からは、ほかほかと湯気があがっている。 「いただきます」 食べ始めたのだが、三波だけはまだ眉をねじ曲げていた。 見ると、三波の皿には豆腐しか入っていない。 もちろん、北斗のイヤガラセである。
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