16人が本棚に入れています
本棚に追加
/74ページ
でも、あまり時間をかけることなく、道場に戻ってこられていたということは、本当に言う通り、簡単だったのかもしれない。
見かけより、いい人たちだったのか?
あれだけこじれていた相手に、北斗はいったいどんな交渉をしたのだろう。
では次に、事件が起きた本当の理由について聞いてみた。
「じゃあやっぱり、チカンはえん罪だったということ?」
あの男性が、チカンのえん罪をなすりつけられて、東郷を恨んでしまった。
だから復讐しようとしたけれど、北斗の説得(?)で誤解も解けて引き下がった。
そう考えたのだが、北斗は言った。
「さあ、それはわかりません。ここにいる誰もが、現場を見ていたわけではありませんから。ただ示談金は支払われたようですよ」
では、男性は加害を認めたということになる。
やはり、東郷の方が正しかったのだろうか。
そう北斗が冷静に正したから、男性も思い直した。
でも北斗はまた静かに首を振った。
「正しい正しくないなんてのは、当事者以外が言えることではないですよ」
どういうことだろう。
最初のコメントを投稿しよう!