山小屋

1/1

1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

山小屋

 本当の山小屋で、山の会のメンバーは一人足りなくなった男性メンバーを心配していた。 「おかしいなぁ。俺の後ろを歩いていたんだ。いつのまにかはぐれていたみたいだけど、山小屋までは一本道なのにな。」 「そうねぇ。私達は先に着いたから雨にも濡れなかったけど、大分降ってるわよね。大丈夫かしら?さすがに雪にはならないだろうけど。」 「スマホは電源切れてるし、連絡の取りようがないけど、とりあえずのぼり慣れている山だから、大丈夫だとは思うよ。もう少し待って山小屋に来なかったらヤッケを着て下山しよう。下山の途中で見つかるかもしれないし。」  しかし、下山の途中でも、下山してからも一向に男性は見つからなかった。  山の会の仲間は警察に届けを出した。  まだ雪の残っている場所もあったので、警察は男の捜索に出かけた。  山道の途中の雪だまりの中に、小さな屋根のようなものが見えた。  誰も気づかない程度の3cm程の屋根だ。  その中にはミニチュアサイズになった、探している男の新品のリュックもあるのだが、大きさが変わってしまった男性の存在には誰も気づくことなかった。  やがて、雪も融け、本格的に山開きが行われる頃、未解決事件として捜査は打ち切られた。  【了】  
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加