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今日は動物番組を見ている。
最近、動物ものの番組が多い。
それも、いかにもお金をかけた感じの、「サバンナの大自然で生きる野生動物たち!」とか、「動物園にもいない世界の珍獣!」とかっていうのじゃなくて、その辺の家で飼われてるペットの犬や猫の、ちょっと可愛い瞬間とかをネットから拾ってきて放送しているのだ。
テレビもすっかりネットの後追いだよなー、なんて思いながらもそんな番組ばかり観ていたら、我が家のとりとねこもあっさりとそれに影響された。
「今日も動物番組、観るよね!」
嬉しそうに有無を言わさない感じで言いながら、二人はテレビの前に陣取る。
テレビに映る犬や猫のちょっと間抜けな仕草を並んで鑑賞しながら、うふふふふ、と笑っている。
「ばかだね、あのねこさん。あっちから行った方が早いのにね」
「あの犬さんも全然気付いてないよ。おかしいね」
小皿に盛られている(らしい)かすみを肴に、動物たちについてああだこうだと言い合っては笑う。
どういう感情なんだろうか。
一応、かなりデフォルメされているとはいえ自分たちも鳥や猫のレプリカ的なものなのだが。
CMの合間に、さっそく新しい遊びを始めた。
とりが、紐に括り付けたおもちゃをこたつの上からぶらぶらと揺らし、下にいるねこがそれに反応してじゃれつく。
さっきテレビでやっていたシーンの再現だ。
本物の猫が動くものにじゃれつくのは、多分に本能あってのことなのだろうが、うちのねこにはそれがないので、かなりわざとらしい。
「にゃっ、にゃにゃっ」
普段「にゃー」なんて言わないくせに、こういうときは、にゃーにゃー言わないと気分が出ないのだろう。
ねこは楽しそうに一生懸命じゃれついている。
とりはおもちゃを揺らしながら、うふふふふ、と笑っている。
私は二人にばれないように、こっそりとチャンネルを変える。
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