今日は一緒に飲みたかった。

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今日は一緒に飲みたかった。

 今日は、久しぶりに外でお酒を飲んできた。  会社の人との飲み会では、酔って醜態をさらさないようにせいぜいカクテルを二杯くらい頼んで、私はもうこれで十分です、みたいな顔をして慎んでおくのだけど、今日の相手は学生時代の友達だったので、生中の後にハイボールを5杯も飲んでしまった。 「ただいまー」  ご機嫌で帰ってくると、とりとねこがふこふこと出てきた。 「おっ、ごきげんだなマキ」 「わー。お酒のんでるー」 「まあねー」  ちょっとふらふらする。調子に乗って飲み過ぎたかな。  靴を脱ぐのももどかしく部屋に上がると、とりとねこもついてくる。 「家でもまだ飲むのかー」  とりが言う。 「飲んじゃえ飲んじゃえー」  ねこが言う。 「うーん……」  めちゃめちゃ飲みたい。  でも、明日も仕事だ。あんまり飲むと起きるのがつらいんだよな。 「やめとこうかな」  そう言うと、二人がふこりと動きを止める。 「どうした、マキ」  とりが不思議そうに私を見上げる。 「まだ冷蔵庫には発泡酒が三本とレモンサワーの濃いのと薄いの二本ずつ入ってるぞ」  よく知ってるな。 「冷えてないお酒なら、あっちの戸棚にもあるよ」  ねこも言う。 「強いやつ。強いっていう意味の英語のやつが色違いで三本」  うん。まあ、それはいいじゃないか。 「もうお風呂入って寝るよ。明日も仕事だもん」  私が言うと、二人はふこりと顔を見合わせた。 「そっかー。明日も仕事かー」 「マキは忙しいなー」  なぜか残念そうな二人。 「じゃあ次は金曜日にお友達と飲めるといいねー」  とりが言った。  ねこがふこふこと部屋の隅に行っておちょこを片付け始める。  あれ、もしかして。 「私と飲もうと思って、待ってたの?」 「我々のことは気にするでない。サラリーマンには明日があるのだマキよ」  とりが手羽をふこりと上げてそんなことを言う。 「そうそう、サラリーマンには明日も明後日もその次の日もそのまた次の日もまたまた次の日もあるからねー」  ねこも言う。  いや、そこまで連勤したくない。ちょっと休ませてください。 「いいよ、飲もう」 「えー?」  二人が私を見上げる。 「無理するなマキ」 「するなマキ」 「一本くらいならおんなじだもん」  そう言って、冷蔵庫から一番アルコール度数の低いレモンサワーを出す。  ぷしゅっ。 「ほら、開けちゃった」 「あー」  二人が顔を見合わせる。 「開けちゃったら仕方ないねえ、ねこくん」 「仕方ないですね、とりさん。お付き合いしないと」  二人がいそいそとおちょこを持って寄ってくる。  私には何も見えないが、そこにかすみが入っているらしい。 「かんぱーい」  私はアルミ缶を、おちょことそっと合わせた。
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