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今日は洗濯ものに埋もれている。
仕事から帰ると、部屋のど真ん中に衣類の山。
思わずため息をつく。
いや、これは自業自得なのだが。
最近忙しかったせいで、ずいぶんと洗濯物がたまってしまったので、ここはひとつ、近くのコインランドリーに行っていっぺんに乾燥まで済ませてしまおうと思い、昨日行ってきたのだ。
すっかり乾いた服を家に持ち帰ってきたまでは良かったのだが、それでミッション完了した気になってしまい、服は部屋の真ん中に放り出したまま、たたむところまでいかなかった。
そういうずぼらなことをすると、結局こうやって次の日に返ってくるんだよね。
やれやれ。
部屋着に着替えてから、衣類の山の前に座る。
仕方ない。ちゃっちゃとたたんでしまうか。
そう思って、とりあえず山の上にあるバスタオルを引っ張ると、思ったより絡んでいたみたいで衣類の山が崩れた。
「ああ、もう。……ん?」
山からとりとねこの身体が覗いている。
服をどけると、二人とも、衣類にまみれてゴロンと転がっていた。
「……なにやってんの」
そう訊いてみたが、二人とも動かない。我々はすっかり洗い終わったぬいぐるみですよ感を出している。
「あ、そうか、忘れてた。私この子たちも洗濯したんだったー。って言うと思った? あなたたちは洗ってません」
「ちっ」
とりがふこりと起き上がった。
「だまされなかったか」
「騙されるわけないでしょ」
「これでお風呂一回パスできると思ったんだけどなー」
とりはそう言いながら、身体にまとわりついた私の下着をぽいっと投げる。
「マキもそこまで愚かではなかったか」
「だからばれるって言ったのにー」
ねこもそんなことを言いながら起き上がった。
「ほんとに乾燥機で回されたら目が回っちゃうよね」
そう言って、足元の私の下着をぽいっと投げる。
お前ら、人の下着を何だと思ってるんだ。
「ちぇー。行こ行こー」
「テレビ見ようー」
二人は洗濯ものを踏み荒らしてふこふこと去っていく。
「ちょっとー。荒らさないでよー」
そう言ってみるが、二人とも器用にリモコンを操ってテレビを点け始めている。
まったくもう。
私は改めてタオルをたたみ始めた。
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