35人が本棚に入れています
本棚に追加
今日はテレビを見ている。
今日のとりとねこは騒がしい。
お気に入りのクッションをちょうどテレビが見やすい位置に持っていこうと二人で頑張っているのだ。
といっても、ビーズクッションはそれなりの重さがあるので、手乗りサイズのぬいぐるみ二つには、ちょっと運ぶのは難しい。
しばらく両側からクッションを挟んで、「はっ」とか「ふっ」とか掛け声をかけあっていたが、やがて静かになった。
うまくいったのかと思ったらクッションは1ミリもずれずにそこにあって、二人がじーっとこちらを見ていた。
「はいはい」
めんどくさいな。
私が渋々クッションをテレビの前に設置してやると、二人はいそいそとそこに乗っかる。
かと思ったらとりがすぐに下りてきて、クッションの頂点辺りを指差す。
「あそこ、ぼふってして。ぼふって」
「ふたつね。ふたつ」
ねこも横から口を出す。
「はいはい」
私はまた返事して、握りこぶしでクッションを軽く叩き、二つ窪みを作ってやる。
「ありがとー」
「とー」
雑にお礼を言って、二人はいそいそとクッションに登る。
二人とも、ちょうどぽこりと窪みにはまった。
クッションから上半身だけ出ている。
「あ、4チャンね4チャン」
とりが振り向きもせずに言う。
リモコンでお望みのチャンネルに変えてやると、とりの好きなお笑い番組が始まっていた。
まだどんなネタかも分からなかろうに、とりはすぐにうふふふ、と笑い始める。
ねこもついでに、うふふふ、と笑う。
「面白いね、とりさん」
「最高だね、ねこくん」
楽しそうで何よりである。
私はそろそろ水っぽくなってきたレモンサワーにお酒を足すために立ち上がった。
最初のコメントを投稿しよう!