22時

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ーー 最寄り駅近くのファミレスで時間を潰し、夕食時で店内が込んで来たころに店を出た。それでもまだ時間には余裕がある。 適当にぶらぶら歩き、途中にあったゲームセンターでクレーンゲームをして遊んだ。 俺も優正もクレーンゲームが思ったより下手ですぐに飽きたが、他のゲームで遊んでいるとあっという間に時間が過ぎた。 21時半を過ぎ、そろそろ例の場所に向かうかということになった。 散策をしている間にビルまでかなり離れた場所まで来てしまったから、歩いて戻っても時間に間に合うか分からない。 少し早歩き気味に向かったが、道の途中で22時を迎えてしまった。 「時間過ぎたな……」 「でもあの見えてるビルだ」 ビルの前の交差点では、青信号にもかかわらず車が進まずにいた。そのせいで、後ろの車がクラクションを鳴らして前を急かしている。 一体何があるのだろうと、俺と優正は小走りで交差点の横断歩道がよく見える場所まで行った。 22時と言う時間帯のせいか、人通りはほとんどなかった。おかげで一番前の車が進めない理由がすぐに分かったけれど。 「嘘だろ……」 「マジか……」 交差点の真ん中を見た俺と優正は目を見開く。 喫茶店とビルを挟む横断歩道の上で、車のライトに照らされて黒髪ロングの女性が血を流して倒れているのが見える。腹部には刃物が刺さっている。 その女性が着ている、腹部が血に染まったピンクのコートには見覚えがあった。 「あの人……」 「知ってる人か?」 「知ってると言うか、似てると言うか……」 「似てるって?」 俺は優正に、今朝、家から駅までの道の途中で似たような人にぶつかった話をした。
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